厚生労働大臣

厚生労働省
これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会委員各位

厚生労働委員会委員各位

大阪精神障害者連絡会
代表  山本 深雪
〒543-0072 大阪市天王寺区生玉前町5-33
大阪府障がい者社会参加促進センター内
TEL / FAX 06−6796−9297
ホームページ:bochibochi-club.com
意 見 書

                         


《はじめに》
 私たちは1993年12月より大阪で暮らしている精神障害者のネットワークです、地域にむけて、わかち合い電話相談や市民誰もが参加できる例会や交流会を重ねてきました。
 7月26日相模原市の障害者施設で19人もの心身障がい者が殺され、27人の方が負傷する痛ましい事件が起きました。12 月8日この障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チームの報告書(再発防止策の提言)が出ました。
 この事態に多くの市民が怒っているのと同じように、私たち精神障害者も憤りかつ不安に揺れています。その原因は、事件のことだけではなく、容疑者の鑑定結果を待たずして出された、国による性急な検証作業の行い方への不信によるものです。

 この容疑者は昨年2月、衆議院議長公邸前に詳細な犯行予告の手紙を持参しています。その内容は、『障がい者が生きることは不幸を作り出す』との差別と憎悪の確信に満ちた内容です。この内容は安楽死法案等を議論している国会を含め、世の中全体に存在している優生思想のむき出しの内容となっています。これに対し、他国の大統領等はコメントを述べましたが、わが国の首相も今回の報告書も、容疑者の述べた確信については何も触れていません。
 「考え方がおかしいので精神医療を措置する」との関わりが、この2月容疑者になされました。しかし措置入院は目の前に「自傷他害の恐れ」が切迫しており生命の危険を回避するための仕組みであり、こうした確信犯の思想の矯正に精神医療を使うことはあってはなりません。
 通常脅迫行為に対しては刑法で対処すべきであり、犯罪防止はまずはこの領域の課題です。

 まず容疑者本人の薬物による影響がどの程度のものなのか、事件を起こした背景はどのような内容であったのか等前提となる情報が出ていない環境下で、この報告書をまとめること自体がおかしな筋であり、許されることではありません。今年1月20日過ぎに鑑定書が作成された後、それを熟読した時始めて検討する環境が整ったというべきです。




《障害者への憎しみの行動は、どこから生まれたのか》

 5月24日の衆院本会議で民族差別などを街頭であおるヘイトスピーチ対策法「ヘイトスピーチ解消法」案が成立しました。国会で「不当な差別的言動は許されないことを宣言」し、人権教育等を行うと予算をつけることが確認されました。

 容疑者の障がい者への憎しみが、どこにおいてどのようにして醸成されたのか、それを調べること、国民にもわかるようにすることこそが、本案の再犯防止の道の端緒であると思います。

《まとめ》
 この事件によって問われていることは、報告書にあるような、精神障害者だけを特別枠にいれて監視を強化していくこと、差別を強化することではありません。1人の行動によって、99人の精神障害者がまるで犯罪予備軍のような扱いを受けることは不当です。

 報告書を読む限り、措置入院となったら、その入院期間は現状より長くなりそうで、共生社会への推進を阻害している社会の在り方を問うものにはなっていません。
 私たちは、「障がい者はいなくなれば良い」という考え方に抗議するとともに、この事件を契機に措置入院が強化されることに抗議します。
 そして肝心なこの事件を生み出した背景は何か、そうさせた社会の在り方(障がい者施設も含む)についてきちんとした議論を行うことを求めます。

 地域で障害者も生きていく権利がきちんと守られている環境をともに作り出していきたいと願っています。

以 上
2017年 1月 8日



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